心理戦のエスカレーション:中国が台湾軍「サイオプス部隊」に報奨金

国際情勢
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中国、台湾軍「心理戦部隊」に報奨金を設定

台湾海峡を巡る緊張が新たな局面を迎えています。中国の厦門市公安局は、台湾軍の「心理戦部隊」に所属する18人を名指しし、「分離主義的な活動」を行っているとして、彼らに関する情報提供に報奨金を懸けると発表しました。この発表には、氏名、顔写真、台湾の身分証番号といった個人情報までが含まれており、極めて異例かつ威圧的な措置です。

報奨金の額は1,400米ドル(約22万円)とされ、中国当局が台湾の防衛関係者を直接的に標的とする行為は、心理的圧力を加えることを目的とした「情報戦」の一環とみられます。

標的となった「心理作戦部隊」とは

対象とされた18人は、台湾軍内で情報戦や心理戦を専門とする「サイオプス(Psychological Operations)」部隊の中核メンバーとされています。心理作戦とは、情報操作や宣伝を通じて敵の士気や意志決定に影響を与える戦術です。

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厦門市公安局がこのような具体的な個人情報を公表し、報奨金まで設定したことは前例がほとんどなく、台湾の防衛関係者や国際社会の間で強い懸念が広がっています。中国側の狙いは、台湾軍の内部に不安と混乱を生じさせることにあるとみられます。

厦門市の地理的要因と戦略的意味

厦門市は台湾海峡を挟んで台湾の対岸に位置し、台湾本島からわずか約200キロメートルの距離にあります。この地理的な近さから、同市は台湾を対象とした情報活動や政治宣伝の拠点とされており、今回の発表もその一環と考えられます。

台湾側の強い反発:「事実無根の政治操作」

台湾国防部は、「中国の行為は明確な挑発であり、台湾軍と社会の分断を狙った情報戦だ」との声明を発表しました。また、台湾政府はこの主張を「事実無根の政治的操作」として強く批判し、中国による心理的圧力の一環だと非難しています。

中国メディアは一方で、「台湾の心理戦部隊がSNSなどを通じて中国本土への敵対的なプロパガンダを展開している」と非難しており、両者の情報戦は激化の一途をたどっています。

緊張の高まりと今後の展望

今回の中国の行動は、台湾軍人を直接的に威嚇することで、台湾社会に不信感や恐怖を植え付け、防衛意識を揺さぶることを目的としているとみられます。このような個人を標的にした心理作戦は、軍事的圧力と並行して台湾海峡の安全保障環境を一層不安定化させる懸念があります。

今後、中国が同様の措置を継続するか、台湾政府および国際社会がどのように対応するかが注目されます。台湾社会の結束力が問われる、新たな「情報戦の時代」が始まっています。

出典

Channel News Asia: “China offers bounty for Taiwan psyops unit members over ‘separatism’”

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