米国への留学を目指すシンガポール人学生の熱は、依然として強い。Channel NewsAsia（CNA）によれば、8月に米国へ向かったシンガポール人学生数は前年同月比でわずか4.8％減。この減少幅はアジア各国・地域で最も小さいと報じられ、地域的な逆風の中でも米国高等教育の吸引力が持続している実態が浮き彫りになった。
「4.8％減」にとどまった理由：質、機会、ネットワーク
米国の研究環境や学際的なカリキュラム、強固な校友ネットワークは、学費や生活費の上昇、ビザ関連の不確実性といったハードルを上回る魅力として評価されている。シンガポールでは教育投資への関心が高く、進学先として競争力のある奨学金や研究ポジション、産学連携の機会が選好を下支えしている。
ビザ・政策の不確実性：逆風下でも維持される選好
米国側では2025年春以降、学生ビザ審査・運用に関する動きが注目を集めた。主要紙・通信社の報道では、大学と政権の攻防や審査強化報道が相次ぎ、国際学生全体では到着者数の落ち込みが指摘されている。他方で、CNAが示すとおり、シンガポール人の減少率はアジアで最小にとどまり、選好の強さが数字に現れた格好だ。米国内の大学コミュニティでも、国際学生を支援する姿勢が可視化され、キャンパスでの集会や声明が相次いだことが報じられている。
アジア全体との対比：シンガポールの特異性
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アジア全体では二桁台の落ち込みが取り沙汰される一方、シンガポールは高い英語運用能力、STEM・ビジネス分野への強い関心、そして将来のキャリア展望を起点に米国のプログラムを選好する傾向が強い。家計の耐性や政府・民間の奨学金制度も、渡航の意思決定を後押ししているとみられる。
現場の空気：大学コミュニティの支援と受け入れ
米国の大学では、国際学生の学びと研究を支えるためのメッセージ発信や、法的支援・アドバイザリーの強化が続く。春以降、ハーバード大学などで国際学生を支える集会が開かれたことも報じられており、大学側の継続的な支援姿勢は留学先としての安心材料になっている。
展望：不確実性と並走しながら
短期的には、ビザ審査の動向や選挙・政策要因が不確実性をもたらす一方、米国大学の研究力・人的ネットワーク・産業との接続は、キャリア投資としての魅力を保ち続けるだろう。シンガポール人学生にとって、米国の学位とネットワークは依然として高いリターンを期待できる選択肢であり、この傾向は当面続くとみられる。
出典：CNA「Despite regional dip, US education still appeals to Singaporean students」。米国内の状況に関する補足は、主要社の当時報道（学生ビザ運用・大学コミュニティの動向）を参照。
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