11月26日に方針提示へ
英財務大臣レイチェル・リーブスは、11月26日に予算案を下院で発表し、新政権の経済ビジョンと財政運営の方針を示す見通しです。今回の予算は単なる歳出入の配列にとどまらず、成長戦略、投資配分、税制設計を通じて英国経済の再建に向けた優先順位を可視化する場になります。
財政上の制約:借入規律と“増税か歳出削減か”の圧力
政府は自ら定めた借入・債務の規律を順守する必要があり、その達成には増税や歳出削減の選択圧がかかります。一方で、総選挙前に労働党が掲げた「勤労者に対する所得税・国民保険料・付加価値税は引き上げない」との公約も存在します。これらをどう両立させるかが最大の焦点です。
注目点① 税制:どこで財源を確保するか
所得税・国民保険料・付加価値税以外の手当(法人税の控除・特例、資産課税の見直し、租税特別措置の整理、課税ベース拡大など)や、徴税・徴収の執行強化による税ギャップ縮小が論点になります。減税がある場合でも、恒久措置か時限措置か、打ち消しの財源は何かがチェックポイントです。
注目点② 公共サービス:医療・教育・治安の配分
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NHS(医療)、学校、警察などコア公共サービスの実質予算の伸び率と、人件費・インフラ維持費の想定が問われます。緊縮下で蓄積したバックログの解消に向け、どの分野を優先するか、資金の出所をどう設計するかが重要です。
注目点③ 成長戦略:投資・規制・生産性
民間投資の喚起(英国版IRA的なインセンティブやグリーン投資の枠組み)、住宅・エネルギー・ネットゼロ関連の許認可改革、労働参加率向上や技能投資など、生産性を底上げする施策の整合性が評価基準になります。
政治日程と手続き
予算案は下院で表明され、関連財政法案の形で審議・修正を経て成立を目指します。OBR(予算責任局)の見通しと整合的か、債務比率と金利コストの経路が現実的かも重要な検証点です。
まとめ
財政規律・成長投資・生活支援をどう同時に満たすか——難しいトレードオフの中で、今回の予算は新政権の優先順位と実行力を占う試金石になります。
出典
BBC News: When is the autumn budget and what will be in it?


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